周囲の大人の反応が子どもに与える影響の大きさについて、臨床心理士みさと先生に質問してみました。
子どもの頃の「ほめられ方」が一生を左右する
児童の学習心理学や専門の心理学者、エレナ・ボドロヴァとデボラ・レオンも、赤ちゃんや幼児は、失敗から学ぶことが苦にならないといっている。
(中略)
なかなかうまく行かず、何度も失敗しても、頑張って挑戦している。
ものすごく集中して、周りからたくさんのフィードバックをもらって、多くのことを学んでいる。
ところが、やがて変化が生まれる。ボドロヴァとレオンによれば、子どもたちは幼稚園に入る頃には、自分が間違いをすると、大人が反応を示すことに気づき始める。例えば、眉を顰めたり、頬が赤くなったり、慌てて子どものところに駆け寄って、「そんなことしちゃダメだよ」と指摘したり。その結果、子どもたちは何を学んでいるのだろうか?困惑や、恐れや、羞恥心だ。
幼稚園の先生や保育士さんたちには、失敗しても平気に振る舞う様子を園児たちに見せるように指導している
やり抜く力 アンジェラ・ダックワース 著より
①周りの反応って子どもにどのくらいの影響を与えるのでしょうか?
分かりやすいように以前実際に行われた実験をご紹介します。800年前のローマ帝王は、修道院で赤ちゃんが目を見ても目を見てはいけない、笑いかけても笑ってはいけない、語りかけてもいけない、と言う実験をしたそうです。すると、1年足らずで、子どもはみんな亡くなってしまいました。この実験は触れ合いの重要性を示していますが、周りの反応による影響にも関わってくるものです。
他にも、虐待を受けた子ども達の脳を調べたところ、虐待の受け方によって、脳の一部が縮小したり、ある機能が弱くなったり強くなったりと、脳の様々な部位に変化が現れていたということも分かっています。つまり、周りの反応によって子どもたちが育っている、といっても過言ではない程、影響を受けているんです。
②どういった声かけや対応が子供にネガティブな影響を与えるのでしょうか?
子どもの自主性や自尊心を損なったり、人格を否定する声掛けは控えた方がいいと私は考えています。
例えば、子どもが100点を取った時、「クラスで1番ですごい」という声かけでは、1番を取らないとすごくはなれない、1番じゃなきゃだめ、というメッセージを伝えてしまうかもしれません。「全問正解でえらい」という声かけは、全問正解した子どもの自尊心を認めてあげることとしては良いですが、ミスしちゃえらくない、ミスしちゃいけない、というメッセージにもなりかねません。人と比べてどうかとか、他者の曖昧な評価を基準にしてしまうと、その子がどう努力をしたところで報われないことになると思うんです。そうなると、『努力しても無駄だ』という誤学習に繋がったり、『自分は何をしても人よりもできない』と自己肯定感を損なってしまいます。
③どういった声かけや対応が子供の成長(自己肯定感・自立心)をポジティブに導くのでしょうか?
先ほどの100点をとった例でいえば、100点を取ったことはもちろん素晴らしいことですが、それは本人が努力をしたり、集中して話を聞いていたこと、真剣に取り組んだことの結果です。その本人の努力の部分や本人の気持ちの部分を言葉で伝えることが子どもの成長に繋がると思います。そのため、「自分で勉強時間を決めて取り組んで頑張っていたから100点がとれたんだよ。嬉しいね」とか、「前まで出来なかったけど、それでも諦めずに取り組んだから、100点になったのかなぁ。すごいね」などの声かけは、どうすれば良い結果を生み出せるのかというポイントを子どもが知ることができができたり、自分の努力をしっかり見ていてくれるという安心感、気持ちを共有できる喜びに繋がると思います。また他の人と比較しての自分ではなく、結果はついてくるものでまずは努力すること自体の大切さとか、以前の自分より成長できたことが素晴らしいことだとか、そういうことに焦点を当てられるようになると思います。そうすることで、自己肯定感や自立心も育っていくのではないでしょうか。
みさと先生 臨床心理士/公認心理師
鹿児島大学大学院臨床心理学研究科修了
2016年 熊本県中央児童相談所で心理相談員としてキャリアをスタート
2018年 熊本大学医学部附属病院で超未熟児で生まれたお子様のフォローアップ支援に携わる
2019年 社会福祉法人やまなみ会心理相談員として、児童発達支援センター・放課後デイサービス・障がい者支援施設での入所者通所者のサポートに従事
2020年~現在 福岡市こども総合相談センターで心理相談員として様々な子どもたちのケアを担当している
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